世にも毛妙な物語 目次


第一話 オールフリーという名の脱毛サロン
第二話 ムダ毛の価値観 ← 今あなたが見ている毛妙なページ
第三話 ウブ毛の記憶
第四話 脱毛ルーム
第五話 悪戯なムダ毛


「ちょっと美香。。。いい加減、腕毛剃ったら?」


「嫌だよ。。。めんどくさい・・・・」


佐伯美香17歳。私立女子高校商業科の2年。
陸上部で長距離ランナーをしていて、高校1年の時の県大会では、
20キロ走で優勝したほどの実力を持っている。


見た目はというと・・・子供のころからかなり毛深いほうで、
特に腕毛が濃く、かなりふさふさしている。


その美香のクラスメイト、西園寺恭子(さいおんじきょうこ)17歳。


西園寺は見た目はお嬢様系で自他ともに認める「美人」。
1年生の中には西園寺ファンが何人かいて、ファンクラブがあるほど。


6月に入り、制服も衣替え。
半袖になると、美香の腕毛はかなり目立つ。


女子高だから、男子の視線を気にする必要がないので、
今までムダ毛処理を一切せずに生活してきた。


だが、それも限界のようだ。
西園寺からもたびたび「腕毛剃ったら?」とツッコミを入れられるようになってきた。


一回剃り出すと、剃り続けなければならない。
剃るほどに濃くなっていくってよく聞くし。


永久脱毛なんてお金がかかるし…


あーめんどくさい。
別に生えっぱでいいじゃん。


毛だってちゃんと理由があって生えてるんだから。
自然に身をまかせられればいいのに。


今日の3時間目は地理。


美香は、地理のある日は朝から気分がいい。


地理の村上先生は、授業が始まって最初の5分間、
毎回ちょっとした小話をしてくれる。


美香はその小話のファンで、そのおかげもあってか、
地理の勉強自体も大好きになっていた。


地理のテストだけはいつも点数が良く、
世界中の国の首都が言えるまでになっていた。


「先生のこと好きになってよ。その代わり地理のことも好きになってよ。」
という村上先生の作戦にまんまとはまっている一人だ。


3時間目の始まるチャイムが鳴ると同時に教室に入ってくる先生。
いつものように、何も言わずにいきなり黒板に向かう。


教室に入ってすぐに書き始めるその後姿を見るだけで
クスクスと笑ってしまう生徒も多い。


黒板に「わさわさ地蔵」と大きく書いた先生。
いつも小話のお題だけ黒板に書いた後に話が始まる。


「わさわさ地蔵」は知る人ぞ知るお地蔵さんで、
地元の人でも存在自体を知らない人は多いという。


高校から歩いて10分くらいの場所に商店街があるのだが、
その商店街の中の奥まった所にいらっしゃるようだ。


毛に関する願いをかなえてくれるというお地蔵さんで、
頭が薄い人がよくお参りをしているらしい。


が、薄毛に関する悩みだけではなく、
毛全般の悩みを聞いてくれる神様のようだ。


先生は3回ほどお参りをしに行ったらしいが、
まだ薄毛改善の兆しはなく、今日も学校帰りに寄るらしい。


どっとみんなが笑ったところで、ちょうど5分の小話が終わり、
村上先生は地理の授業を普通に始める。


たったこれだけで、全員が地理の授業を集中して受けている。
他の教科の授業では、よく寝ていたり、他の事をして集中していない子も多い。
人間心理とは面白いものだ。


その日の学校帰り。


「わさわさ地蔵」のことが気になった美香は、寄ってみることにした。


先生の話を思い出しながら、、、
あのパン屋の角を左に曲がって、、、
その次を・・・確か右だったな、、、


ずいぶん奥まったところにあるから、
知らない人が多いというのもうなずける。


おっ!あったあった。これかー。
お地蔵さんなのに、全身に毛が生えている・・・
だから「わさわさ地蔵」と言うのか・・・


ずいぶん年季が入っているように見えるお地蔵さま。
その割には、ちゃんと手入れが行き届いていて、
新しいお供え物もしてある。


その光景は利用者の多さを物語っていた。
先生の言っていた「知る人ぞ知る。」というのは本当だったようだ。


お地蔵さんの前には、木で出来た小さなお賽銭箱がおいてある。


毛全般の悩みを聞いてくれるお地蔵さんだって先生は言ってたなぁ。
ムダ毛が薄くなるように、お賽銭を入れてお参りしておこうかな。


小銭あったかなー・・・
あっそうだ!今日はお母さんに買い物を頼まれてたんだった!
忘れるところだった。危ない危ない、帰りに買ってかなきゃ。


そういえば1万円札入ってたっけ?・・・
よし、ちゃんとあった!


ぴゅーーーーー


その時、突然強風が美香を襲った。


「あっ!」


ヒラヒラヒラー


「ぎゃー!!!」


私の全財産が賽銭箱の中に・・・


あぁー!間違いなんです。すいません。
お賽銭入れようと思ってたけど
1万円札を入れるつもりじゃなかったんです。


・・・・・・


お釣りよこせー!


無理だと分かっていても反射的に手をつっこむ。
うぅ、入らない。。。
そりゃそうだ。簡単に手が入ったら、お賽銭取り放題だ。


管理会社の連絡先とか書いてないのか。


はっ!近所の人の視線が・・・
違います。私、賽銭ドロボーじゃないんです。


あっ!でも!
賽銭箱開けてもらっても、
それが、私のお金って証明できないんだ。


泣き寝入りするしかない・・・
最悪だ・・・


うっうっうっ
半泣きで私はお参りすることにした。


こんな街の片隅のお地蔵様に
1万円も賽銭を出す人なんて今までいなかっただろう。
絶対、ご利益あれよー!

手を合わせて、
「私のムダ毛をなんとかしてー!」
と思いっきり、心の中で叫んだ。


心の中で叫んだ瞬間・・・


ガクン!


突然立ちくらみがする。


何?!


立っていることができず、私はその場で倒れる。
お賽銭箱の角で頭打ちつけ、そのまま意識を失ってしまった。


………………………………………………………………


……はっ。意識が戻った。


いててて・・・ちょっとたんこぶになってる。
なんなんだ。ご利益のごの字もないじゃない。


くそ地蔵めぇー!
あーもう損した!ホントバカ!


お母さんに頼まれた買い物はどうなるの?!
帰ってお母さんになんて謝ればいいのか・・・


家にこのまま帰る気分にならない。
コンビニで立ち読みでもしてから帰るか。


コンビニへ行く途中に、すれ違う女性・・・


ん?
なに、あの人・・・
鼻毛のび放題じゃないの・・・


わっ!
あの人は、ノースリーブの脇から脇毛はみ出てるじゃん。
気づいてないのかな・・・


私もたいがい無頓着だけど、
あそこまでだらしなくはできないわ・・・
人目とか気になんないのかな・・・


コンビニに入り、お目当ての雑誌を探していたところ、
男性向けのグラビア雑誌の表紙に、ふと目が止まった。


グラビアアイドルの水着の写真が載っていたのだが・・・
水着の大事な部分から、わさわさとはみ出とるー!!!!


雑誌を手に取って、ペラペラめくってみる。
載っている全てのアイドルの水着写真の大事な部分から、
それはもう恥ずかしいくらいにはみ出していた。


こういう雑誌が売られているってことは・・・
こういうのが好きな男性がいるってことか・・・
何フェチの雑誌だ。


はぁー男ってやだやだ。


気を取り直して、いつも読む女性誌を手に取る。


えっ!?・・・


同じだった・・・


今年の夏の新作水着の特集がされていたが
モデルの大事な部分から同じようにはみ出していた。


他のページもペラペラめくってみる。


脇毛や腕毛・すね毛など体毛のお手入れをしていない
人気モデルの写真がたくさん載っていた。


これは一体・・・どういうことだ…?


ふと後ろに人の気配がする。


「素敵ですね。その腕毛。よかったら、これ僕の携帯の番号なんで・・・」


わっナンパだ!
恥ずかしくなってコンビニを一目散に飛び出す。


ナンパだ。
私、確かにナンパされた・・・
記念すべき・・・人生初ナンパだ!


でも、、、あれ?あの人なんて言ってたっけ?


「素敵ですね。その腕毛。」


私の腕毛を褒められた?!


女に生まれた以上、一度はナンパされてみたいという願望はあった。
その記念すべき初体験の最初の一声が「素敵ですね。その腕毛。」って・・・


あらためて周りを歩いている女性を観察してみると・・・


みんな体毛の処理をしていない。
全身ムダ毛伸ばし放題で堂々と歩いている。


私、、、頭おかしくなっちゃったのかな???


家に帰ると、母親はまだ帰ってきていなかった。
買い物に行けなかった理由を考えておかなければ。


お賽銭箱に1万円が間違って入っちゃった、と言っても、
信じてもらえそうにないから。


テレビを付けてみるとワイドショーがやっていた。


「人気のドラマ『家政婦のムダゲ』が今年に入っての最高視聴率38%を突破!」


「その脇毛、自毛なんですか?育毛じゃないんですか?
 どうなんです。答えてください!」


レポーターにしつこく質問されている人気女優。


ふむふむ。
ようやく理解できてきたぞ。


どうやらここは、ムダ毛が価値のある世界。


ムダ毛をはやしたアイドルが堂々とバラエティ番組にでていて、
ムダ毛の濃い女性キャスターが堂々とニュースをよんでいる。


あのお地蔵さまのしわざか。
腕毛の濃い私のための世界じゃないか!


ついに私の時代が来た・・・


ビバ!ムダ毛!


次の日の学校。


私への視線が昨日までのそれとは明らかに違う。
みんなが憧れの目で私を見ている。


「美香先輩の腕毛って、いつ見ても素敵ねー。」


下級生が噂をしているのが聞こえてくる。
悪い気はしない。


「キャー!」


ひときわ、大きな声が。
なに?と思い振り返ってみる。


クラスメイトの西園寺の周りに人だかりができている。
いつもハイソックスを履いている西園寺だが、
今日はとても短い靴下を履いている。


「いいわよねー!西園寺先輩のすね毛!ホント綺麗だわー!」


「はあ、、、私も今度生まれ変わったら、あんなすね毛を生やしてみたいわ・・・!」


「すね毛に比べたら、腕毛なんて糸くずみたいなものよねぇー。」


糸くず!?毛の中でも格付けがあるの?!


ってか西園寺。。。私の腕毛を散々バカにしておきながら・・・。
実は自分はすね毛がすごいことになってるじゃないか。


どうやら同じムダ毛でも価値に違いがあり、
腕毛は、ランクが一番下のようだった。


なんだかすごい悔しい・・・


「ムダ毛をなんとかして」


こんなあやふやな願いをしてしまったせいだ。


もう一度あのお地蔵様にお願いしてみよう。
今度は、もっと具体的に頼んでやるー!!!


自宅に戻り、へそくりの一万円を取り出し、
再びわさわさ地蔵のもとへ!


「腕毛が最も価値のある世界にして!」


再び立ちくらみがして、賽銭箱の角に頭をぶつけた。


目が覚めると、そこは、、、ムダ毛の中でも腕毛しか価値のない世界だった。


高校の中でも腕毛に関しては私より上はいない。
学校中で一番ちやほやされるのは、西園寺ではなく私になった。


街を歩けば、すべての男が振り返る。
男だけじゃない。
女性も。
子供も。
ご老人も。
みんなが私を見ているような気がする。


そして、街を歩いていると、スカウトされた。


「腕毛がキレイな子をそろえたアイドルグループ
 udege48に入らないか?君ならきっとセンターをとれる!」


私は、udege48に入ることにした。
そして、そのスカウトマンの言葉どおりセンターをとることとなった。


この世界の女性は、顔なんかより腕毛第一なのだ!


華々しく芸能界デビューしたのはいいが、1つ問題が。
私は団体行動が大の苦手だ。


だからこそ、部活も陸上部。
長距離を一人で淡々と走るのが好きだ。
バレー・バスケなど、団体競技は苦手だ。


udege48のことは大好きだった。
だが、48人もいるudege48でこのままやっていくのは無理だと判断した。


間もなくグループを卒業することになるが、
こんな名言を残した。


「私のことは嫌いになっても・・・
 腕毛のことは、嫌いにならないでください!」


卒業後も、ソロミュージシャンとして、女優として、
TV・映画・ミュージカルなど、ひっぱりダコだった。


忙しく充実した日々が続いたある日


政府の人間と名乗る男が自宅に訪ねてきた。


「あなたに国民栄誉賞を授与することが決まりました。」


「え?!」


「実は、国民栄誉賞だけではありません。
世界腕毛サミットにて、あなたの腕毛が、
人類史上もっとも価値のある腕毛に認定されました。
日本で言う人間国宝のようなものです。
生きた世界遺産第一号とのことです。」


やったな!美香!お父さん鼻が高いぞ!
ううう、あんたを産んで、お母さん本当によかった・・・


「つきましては、このサミットで、この人類の宝を
 今の最も美しい状態のまま冷凍保存して
 未来永劫残すことが決定されました。」


「えっ…冷凍保存?この腕毛を抜いてですか?」


「ご冗談を。あなたごとに決まっています。」


「えっえっ。あの…それだと私は、どうなるんでしょうか。」


「死んじゃうに決まってるでしょう。
 そんなの当たり前じゃないですか。
 やだなーもう・・・ははははは。」


「私、嫌です!!」


「はっ?何いってるんです?人類史上最大の名誉ですよ。」


「それでも、死ぬなら嫌に決まってるじゃないですか。
 この世で一番大切なのは命です。」


「何言ってるんだ!
 この世で一番大切なのは、人の命より腕毛だ!
 そうに決まってるだろう!」


こ…この世界、いきすぎてる。。。


「お父さん、お母さん助けて!」


「美香、あなた自身にはなんの価値もないのよ。
 価値があるのは腕毛だけなの。
 おとなしく冷凍されなさい。」


実の親の言うセリフか???
だめだ・・・両親もあてにならない。


立ち上がり、この場から逃げ出そうとする美香。


そこへ政府の男の後ろに座っていた
部下らしき屈強な男が立ちふさがる。

「仕方ありません。あなたを強制的に連行します。 捕まえろ!」


男がゆっくりと近づいてくる。


(どうする…どうする私…こんな奴と戦う腕力はない!) 


(あっ!…そうか!)


「私に近づかないで!
 私に近づけば……この腕毛をむしり取ります!」


「やめろおぉぉぉぉぉぉ!
 君は、何を言ってるのかわかってるのか!
 君の腕毛は、もう君だけのものじゃないんだ!
 人類の宝なんだ!
 モナリザに火をつけるのとおんなじなんだぞ!」


「さあ、どいて。」


「手を出すな!腕毛に万が一の事があったら一大事だ!
 くそっ!腕毛を人質にするなんて・・・なんて卑怯な奴だ!」


玄関に走り、靴をはいて外に飛び出す。


その瞬間、政府の男が電話で指示を出し始める。


「本部に緊急連絡!警察に検問の要請!
 非常事態警戒態勢をとらせろ!
 自衛隊への出動要請もだ!急げよ!

 逃走者は人間国宝の腕毛を人質にとっている!
 あまり刺激をしすぎると、腕毛をむしり取りかねん!
 状況に合わせて冷静に対応するんだ!」


「それと、首相へのダイレクト回線を用意しろ!」


必死に逃げる美香。今こそ20キロ走県内1位の実力を見せる時だ!
長距離走なら誰にも負けないぞ!


だが、そこら中にパトカーが走っている。
それを避けるかのように横道に入りつつ逃げるが、
逃げても逃げてもパトカーがどんどん出現する。


このままでは、捕まるのも時間の問題・・・
まだ17歳よ。死ぬのは嫌だあああ!


まだ人生で1回しかナンパされてないのに!
絶対に死にたくない!


「こっちだ。美香。」


横にある細い道のほうから声がする。
地理の村上先生だ。


「村上先生!なんでここに!」


「今、この辺りの細かい路地まで全て網羅した詳細な地図を作っているんだ。
 次の地理の授業の小話のネタに使おうと思ってな。
 それより、、、お前なんで警察に追われてるんだ?」


「実は、、、わさわさ地蔵にお参りをしたら・・・」


( 美香は、これまでのいきさつを全て村上先生に話した。 )


「俺の・・・俺の小話のせいで・・・お前をそんな危険な目に・・・」


「違います!私のお参りの仕方が悪かっただけなんです!
 先生は全然悪くありません!」


「とにかくだ・・・今すぐわさわさ地蔵へもう一度お参りして
 この狂った世界を終わりにするんだ!
 そうしないと、お前・・・本当に死んでしまうぞ!」


「でも先生・・・周りはパトカーだらけで・・・
 わさわさ地蔵までたどり着けないよ・・・もう無理だよ・・・」


「安心しろ!俺は何の教科の教師だ?地理の教師だぞ!
 この辺りの細かい路地は知り尽くしているぞ!
 お前だけに誰も知らない秘密の抜け道を教えてやる!」


「先生・・・ありがとう!」


「さあ!走ってついてこい!課外授業の始まりだ!
 地理の本当の面白さを教えてやる!絶対にあきらめるなよ!
 このことも、いつか・・・いつか必ず・・・
 地理の授業の小話で笑って話せる日がきっと来る!」


「はい!先生!ついていきます!」


「小話のタイトルは・・・『路地を曲がったその先に』でどうだ!・・・はぁはぁ・・・」


「よく分からないですが・・・いいと思います!・・・はぁはぁ・・・」


村上先生のおかげもあって、パトカー数十台を振り切って
わさわさ地蔵の前にたどりつくことになんとか成功。


振り返ると、警官100人くらいが、もうそこまで走ってきていた。
捕まる寸前に、わさわさ地蔵に願いを叫ぶ。


「お願い!腕毛なんて何の価値もない世界にしてー!!!」


立ちくらみがして、賽銭箱の角に頭をぶつけた。


意識を取り戻すと、、、


周りに警官はいない。村上先生もいない。
元の世界に戻ったのだろうか。


キョロキョロ・・・そぉーと街の様子をうかがう。


警官もパトカーもいない。いたって普通の様子だ。
誰も私のことを探してない。


コンビニへ走る美香。
グラビア雑誌をめくってみる。


誰も腕毛を生やしていなければ、
大事な所からはみ出してもいない。
綺麗にムダ毛処理をしている。


間違いない!ここは、元の世界だ!


バブルの時代は、女性のまゆ毛は今と比べて太いのが普通だった。
平安時代は、オカメみたいな顔が美人とされていた。
首が長い女性がモテる国もある。


価値観なんて、時代と場所でいくらだって変わってしまう。


さっきまでの世界は、行き過ぎだったけど、
世の中なんてそんなものだ。


これからは周りに流されずに自分らしく生きていこう。


腕毛が人と比べて濃い?それがどうしたっていうんだ。
それも私の大事な個性じゃないか。


美香は、わさわさ地蔵から、何か大切なことを教えられた気がした。


コンビニを出て歩いていると、、、


ヒソヒソ
ボソボソ


すれ違う人達が私を見て何か言っているような気がする。
周囲の視線が…私の腕に?!


( あれ? 元の世界に戻ってないの? )


「そこの女性、止まりなさい。」


パトカーに呼び止められる。
中から警官が出てくる。


「な・・・なんでしょうか?おまわりさん」


「なんでしょうかじゃない!
 その腕に生えているものの件に決まってるだろっ!」


やっぱり、元の世界に戻ってないんだ・・・
また逃げなきゃいけないのか?


「公衆の面前で、そんなハレンチなものをさらして・・・
 よく平気でいられるもんだ。
 貴様を公衆ワイセツ罪で、逮捕する!」


ま・・・真逆の世界になってる・・・


世にも毛妙な物語【第二話 ムダ毛の価値観】完



世にも毛妙な物語 目次


第一話 オールフリーという名の脱毛サロン
第二話 ムダ毛の価値観 ← 今あなたが見ている毛妙なページ
第三話 ウブ毛の記憶
第四話 脱毛ルーム
第五話 悪戯なムダ毛